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カボタージュってナニ??

2020/10/30 15:34:08  センムのつぶやき
およそ海事関係者または航空関係者でなければ聞いたことがないでしょうが、実は国民生活にとても関係の深い「カボタージュ制度」について今回は書いてみたいと思います。
(実はこれ、船内で出される「カボチャ味のポタージュスープ」の事です)←真っ赤なウソです!

船にも人間にも「国籍」があります

日本は「島国」ですから、海外との人の行き来や物資の輸送(輸出入)は船か飛行機を使わざるを得ません。
飛行機での物資輸送(貿易)は極めて少ない(1%未満)ですから、ここでは船に限ったお話をしていきたいと思います。

20トン未満のプレジャーボートなどを除き、船にも人間と同じように一隻ごとに「国籍」をもっています。
日本国籍の船は一隻ずつ日本政府の発行する「船舶国籍証書」という証明書を持っています。
当然、外国の国籍をもった船もあり、日本国内の主要な港に毎日たくさんの物資を運び、そして日本で生産したたくさんの製品を全世界に届けてくれています。これは日本籍の船であろうが、外国籍の船であろうが同じです。
このように、日本と海外を結ぶ船を「外航船」と言い、貨物船の場合には「外航貨物船」旅客船の場合には「外航旅客船」といいます。旅客船の場合には「飛鳥Ⅱ」のようなクルーズ客船が有名ですね。
このように、外航船は持っている国籍に関係なく、世界中のあらゆる国の港に入り、あらゆる貨物の輸出入に従事します。つまり、世界中が単一市場であって、世界中の外航船が競争相手という事になります。

カボタージュ制度は主に二つで成り立っています

一つ目は「日本国籍を持っていない船は『開港地』として指定した港以外には入れない」二つ目には「日本国籍をもっていない船は、「人」も「貨物」も日本国内間の輸送をしてはならない」という事です。
これは船舶法第3条というところに決められていて、遭難を回避するとか、国土交通大臣の特別な許可を得た場合など、一部の例外を除き、厳格に運用されている制度です。
外航船が日本の港に入るためには原則として「開港地」という指定された港に限られます。
日本には横浜・神戸など119の港が指定され、中国地方では、境港、浜田港、広島港、呉港、徳山下松港など、17港が指定されており、外国籍の船は原則としてこれ以外の港に入ることができません。

例えば、外国籍のクルーズ客船が日本発台湾行きのクルーズ旅行を行う場合、神戸でお客さんを乗せて、そのあと広島港でもお客さんを乗せることはできますが、神戸で乗船したお客様を広島で降ろす(国内輸送)ことはできません。
いったん台湾の港までクルーズしたのち、日本に帰ってもらうことになります。

これが日本船籍の船であれば、日本国内のどの港に入港しようが、どこにお客様を運ぼうが、自由にできる権利を持っています。

日本国籍船が法律によって保護される意味とは

外航海運は「単一市場」ということを前述しましたが、もしもこのカボタージュ規制がなかったら、競争力に優れた外国資本によって国内物流も席巻されることになりかねませんが、もしそうなったら、安全保障、生活物資の安定輸送、自国船員による海技の伝承、海事関連産業や地域経済の振興など、あらゆる面で甚大な影響が発生することは明白です。

事実、東日本大震災の折、東京湾が放射能汚染されているなどという風評により、東京湾を忌避した外国船舶が神戸港に集中し、大混乱を起こしたという事象もありました。
これがもし、日本船舶だったらどうだったでしょうか。

実はこのカボタージュ制度は、海岸線を持ったほぼすべての国において実施されてるグローバルスタンダードであって、今後ともしっかり守っていくことが必要です。

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